現代人は顎が小さい?

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 最近の若い方は(これを言う時点で自分が年寄りなのですが)顔が小さいと言われますが、顎の大きさは小さくなっているのでしょうか?今日は、昔と比べて現代人の顎が小さくなっているのかどうかについてお話しします。

 

歯科医学における研究では、縄文時代→弥生時代にかけて下顎骨が大きくなっているそうです。また、弥生時代→鎌倉時代→江戸時代と下顎が小さくなり、再び明治から下顎骨が大きくなっているのだとか。下顎骨は身長に比例して大きくなっているという報告もあります。実際に計測してみると、今から40年前と比較した場合、下顎の奥行きは今の方が増加しています。幅はあまり差がないため、歯列が前後的に細長くなっているようです。歯一本一本のサイズは40年前に比べて大きくなっています。これにより顎と歯のサイズのバランスが崩れ、歯並びが悪くなりやすいのかもしれません。

 

 顎の幅を増やすためには、噛むための筋肉を鍛える必要があります。筋肉を鍛えるのには硬い食べ物を良く噛んで食べることが大切です。筋肉に負担がかかることにより顎の骨の厚みや幅が増えます。しかし、現代の食事では柔らかい食べ物が殆どで、昔のような食事と違い咀嚼回数が減っているそうです。これでは顎も大きくなりにくいですね。結果から言えば、現代人の顎は、奥行きは増えたものの幅が小さくなっているのです。

 

最近の人は歯並びが悪い、という意見も聞きますが、私個人の感覚ではここ20年くらいで人々の美意識が細部にまで及ぶようになったと感じています。昔は歯並びをそこまで気にしている方が多くなかったのに対して、今は小さな頃から歯並びや歯の生え変わりに気を使われる方が増えたように思います。上記のようなサイズの変化はありますが、何よりも人々のとらえ方が変わったのではないでしょうか。

 

歯並びを良くすることで咬み合わせも良くなれば、その後の歯全体の寿命も長くなっていき、自分の歯で食事を楽しむ期間が延びます。そういう意味では、現代人の顎の大きさに皆さんが関心を持って下さることは、とても良いことですよね。