2020/12/14
前回は、歯並びと姿勢が密接に関係していることをお話ししました。今回は、舌の動きや唾を飲み込むときの口の周りの筋肉が関わってくる舌癖(ぜつへき)についてお話しします。
【舌癖】
皆さんは、下記の内容に思い当たるところはありますか?
・夢中になってゲームをしたりテレビを見ているときに、口がポカーンと開いている
・下の歯と歯の間に舌が出ている
・飲み込む時に舌を前に押す癖がある
日常生活の中で、このようなことを無意識に行っていることがあれば、それは舌の悪い癖があるということです。これらはすべて「舌癖(ぜつへき)」と呼ばれ、歯並びに大きな影響を及ぼしてしまう可能性の高いものです。舌癖がある場合、次のような不正咬合(悪い歯並び)を引きおこすことがあります。
1 出っ歯(上顎前突)
2 受け口(下顎前突)
3 歯を咬んでも縦に隙間があく(開咬)
これらの不正咬合は、発音にも影響を及ぼします。「サ行」や「タ行」が上手く発音できない場合は舌の動かし方と歯並びが原因になっていることもあります。
舌癖は、直すのが大変です。そもそも、自分の舌の位置が悪いことが分からないからです。舌の位置は、上の前歯より後ろの歯茎に舌の先端が来るようにして、上あご全体に舌がくっついているのが正しいです。唾を飲み込むときも、舌は歯に触りません。奥の方で舌が持ち上がって水分や食べ物をのどへと送り届けます。
舌癖は、姿勢と違って外からは分からないのが困りものですが、クチャクチャ食べる人は舌癖がある可能性があります。また、唾を飲むときのしぐさで舌癖の有無がある程度わかります。舌の訓練をしてくれる歯科医院はあまり多くはありませんが、小児歯科・矯正歯科では対応しているところが多いです。発音が気になる場合は言語療法士に相談しましょう。