MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)と歯科治療との関係

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 前回前々回とMRONJについてお話ししました。発症のしくみや症状についてもお分かりいただけたかと思います。今日は、実際に歯科治療にどのように関わってくるのかをお話ししたいと思います。

 これまで、MRONJは抜歯で引き起こされると思われてきました。そのため、抜歯する際には十分な感染防止が必要であると同時に、抜歯を避けるような動きもありました。また、休薬といってお薬の服用を一定期間やめる指示が出る医療機関もありました(参考:ポジションペーパー2012)。3か月以上に渡り骨粗しょう症薬を服用されている方に休薬していただくことがありましたが、現在では休薬によってMRONJのリスクが抑えられるという研究結果にエビデンスがなく、かえってデメリットが多いということから休薬しない方針になりました(参考:ポジションペーパー2023)。抜歯などの侵襲的な治療だけでなく、感染が発症のリスクをあげるため、必要な抜歯や歯の神経の治療はおこなった方が良いとされています。

 歯科における細菌感染としては

・歯周病

・歯の神経に及ぶ大きな虫歯

・神経が死んでしまった歯の化膿

など、上記が身近な例として挙げられると思います。これらを放置することで感染が広がり、顎骨に及んだ時に顎骨壊死が起こる可能性が上がります。歯を抜くことが悪いことではなく、その前後の感染がMRONJを引き起こします。

 MRONJが起きてしまった場合、ステージごとに治療法が異なります。

                   MRONJの治療
ステージ1
 保存的治療(抗菌性の洗口液、洗浄、抗菌薬を部分的に注入)
 外科的治療(壊死した骨や周囲の骨を切除する)
ステージ2
 保存的治療と外科的治療のいずれも適応される
ステージ3
 外科的治療(壊死した骨や周囲の骨の切除、区域切除など)
 ただし患者の状態や希望により外科的治療が選択されない場合、保存的治療を行うことも

 これまでの記事で、薬剤とMRONJとの関係が少し見えてきたかと思います。使用しているお薬によってはより慎重な治療が必要となりますので、必ずお薬手帳はお持ちください。また、骨粗しょう症などのお薬を服用されている方は歯科医師や歯科衛生士にお伝えください。あなたの大事な体を守るためにご協力をお願いいたします。