お薬と矯正治療のおはなし:歯の動きへの影響 ~矯正治療と骨の代謝との関係性について~

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 お薬を服用している方で、抜歯した際や歯槽膿漏(歯周炎)が悪化して顎の骨に炎症が起きることをMRONJ(ムロンジェ、薬剤関連顎骨壊死)と呼ぶのですが、実はこの時に影響するお薬は、矯正治療にも影響を及ぼす可能性があります。

【MRONJの症状や状態など】

・顎の骨の代謝が悪くなる

 ⇒骨が感染したり炎症を起こしたときに、その悪い部分を溶かす細胞が働きにくくなる

 ⇒骨がなくなった部分に新しく骨が作られにくくなる

・血管が新しく作ることが邪魔される

 ⇒抜歯後など、傷が治るのが遅くなる

 ⇒創傷部への栄養が供給されにくくなる

 矯正治療というものは、顎の骨の中を歯がゆっくりと移動していくのですが、その際に進む方向の骨が溶かされ、今まで歯があったところに骨が作られていくことで顎の骨に穴が開かずに歯の移動が行われます。想像してほしいのですが、土に刺さった木の棒を動かすと、押した側に土が少し盛り上がって棒も移動し、反対側には穴が残るはずです。そうならないように体には本来、傷を治すチカラが備わっているのですが、ある種のお薬を服用することで、骨を溶かしたり作ったりという働きが低下することがあります。お薬が骨を溶かす細胞(破骨細胞)に働くか、その細胞に指令をだす物質に働くかの差はありますが、結果として骨の代謝が落ちてしまうと歯が動きにくくなります。

 もし、骨粗しょう症薬や抗がん剤、ステロイドなどを服用されている方、もしくは過去に長期に服用されていた方は、歯が動きにくい場合があります。矯正治療は歯を動かして歯並びやかみ合わせを治すものなので、歯が動きにくいと目指すゴールに到達できない可能性がありますし、治療期間が想定よりも長くなる可能性もあります。思い当たる方は最初の問診時に、どのような治療を受けたことがあるか、どのようなお薬を服用したか(もしくは服用していたか)をお伝えください。

 ちなみに、矯正治療を行うことでMRONJが起こることはありませんが、抜歯を伴う場合は注意が必要です。そのため、抜歯せずに治療可能なケースであれば歯と歯の間を少し削ることでスペースをつくり凸凹を解消するような治療法を選択することもあります。