抜歯と上顎洞の関係

 みなさんは「上顎洞(じょうがくどう)」という名前を聞いたことはありますか?上顎洞とは、頭の骨の内側にある空洞のひとつです。鼻を構成するものの1つであり、主として空気の通り道となる鼻腔と、その周囲に鼻腔とつながる空洞である副鼻腔に分けられます。 副鼻腔は上顎洞、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つに分けられます。 上顎洞はこれらの内、頬の内側にある副鼻腔(ふくびくう)です。

 大きなレントゲン写真(パノラマ)を撮影した際、上の歯の根っこよりさらに上方に映り込んできます。この上顎洞ですが、歯の根の位置によっては抜歯をした際にお口の中と交通してしまうことがあります。

 上の奥歯の抜歯では、歯の根と上顎洞の底との位置関係が重要になってきます。歯の根が上顎洞内に突出している場合、抜歯により、上顎洞に穴があき、最終的に鼻腔まで交通するため、ロから飲んだ水が鼻から出てしまう症状が出現します。こうした合併症が起こることがありますが、稀なものであり、もし穴が開いてしまった場合でもほとんどが自然閉鎖します。

 しかしながら、穴が1か月経っても閉鎖しない場合や、上顎洞炎を合併してしまい膿が出る場合は、穴を閉鎖する手術が必要です。

 抜歯以外でも、上の歯が原因で上顎洞炎という炎症がおきることがあるため、お口の中と鼻の中とはかなり密接していることが分かるかと思います。

 当院では、上の歯を抜歯する際に上顎洞と近接している場合、口腔外科専門医に抜歯してもらうか、大学病院へのご紹介をしています。もし不安があるようであれば、レントゲン撮影し詳しく検査することができます。いつでもご相談ください。