2021/01/25
こどもの頃に矯正治療をしていたというスタッフが、最近歯並びが少し悪くなったと言っていました。このブログを読んでいる方の中にも、同様の経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか?今日は、矯正治療の「後戻り」についてお話しします。
「後戻り」とは、矯正治療をした歯が元に戻ってしまうことを言います。特に、下の前歯は後戻りしやすい箇所です。完全に元の状態に戻るわけではないのですが、デコボコがあった患者さんの場合はデコボコが、隙間があった患者さんの場合は隙間が、出っ歯だった患者さんは出っ歯が再度起こる傾向があります。なぜ、後戻りは起きるのでしょうか?
後戻りの原因はいくつもありますが、代表的な二つを挙げます。
1 保定装置をしっかり使わない
大変多いのが、この“保定装置を使わない”です。歯並びが綺麗になった直後は、まだ歯の周囲の組織が安定していないため、歯が動きやすい状態です。それを落ち着かせるための保定装置(リテーナー)なのですが、ワイヤーが外れ、歯並びが綺麗になったことで「もう大丈夫だ」と思ってしまい、その後の保定をしっかりしなかったりメンテナンスに通わなくなったりする患者さんが一定数います。本来、治療後は保定装置を一日中つけていただく必要があるのですが、目立つのが嫌だったり面倒くさかったりして使用しないケースがあります。
2 舌癖などの悪い癖がある
唾を飲み込むときに舌で歯を押してしまう。発音の時に歯と歯の間に舌を入れてしまう。いつも舌が歯に触っている。これらが歯を動かす大きな力になります。舌は筋肉の塊なので、力がとても強く、それが毎日・毎晩・四六時中歯に触っていたら動くのも想像がつくと思います。そもそも、この癖があったからこそ悪い歯並びが出来るのですが、なくて七癖ということわざもあるくらいに皆さん自分の癖に気づきません。矯正歯科医は患者さんの舌の癖もチェックしますので、もしあった場合はトレーニングをします。
いかがでしたか?この2つの要因で、2年かけてキレイにした歯並びがゆっくりではあるものの崩れてしまうので、時間と費用を無駄にしないためにも注意しましょう。