矯正治療と虫歯①

 矯正相談を受けるときに、患者さんが小学生くらいのお子さんだと、親御さんからよく尋ねられる項目があります。それが、虫歯についてです。

 今回は、矯正をするにあたって心配なことがいくつかあると思いますが、その中でも特に重要な虫歯との関係についてお話しします。

 まずは、普段と比べてハミガキの時にどのような変化があるかです。

 

①取り外し式の装置(難易度★☆☆☆☆)

装置が外せるので、ハミガキは普段と変わらずおこなえます。

 

②舌側弧線装置(難易度★★☆☆☆~★★★☆☆)

奥歯に銀色の輪っかを接着剤で着け、そこから伸びた針金で歯を裏側から押して動かします。輪っかが着いている部分と、針金が接している歯や歯茎に汚れが溜まりやすいです。普段のハミガキより少し難易度が上がります。

 

③表側のワイヤー装置(難易度★★★★☆)

 歯にくっつける装置の周囲に汚れが付きやすいです。アンダーカットになっている部分が増えるため、色々な方向からブラシを当てる必要があります。また、ワイヤーは歯に直接くっつけた装置に通っているため、ワイヤーと歯の間に隙間ができます。この部分に食べ物が挟まりやすいため、歯間ブラシを応用するとキレイに磨けます。

 

④裏側のワイヤー装置(難易度★★★★★)

 歯の裏側にくっつける装置の周囲に汚れが付きやすいです。また、表側と違って鏡で見えないため、より難易度が上がります。ワイヤーも裏側に通っているため、歯とワイヤーの間にたまる汚れを取り除くのがとても難しいです。汚れが停滞すると歯茎が腫れるため、ワイヤーや装置が歯茎に埋もれてしまうことがあります。

 

 以上のことから、ハミガキのしやすさはかなり変わってきます。ハミガキが上手にできないと、虫歯になる確率もぐっと上がってきます。次回は、矯正治療中に虫歯になってしまったらどうなるかについてお話しします。