MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)について、ご存じですか?

 

皆さんはMRONJという言葉を聞いたことはありますか?我々歯科医師にとって、非常に重要なこの言葉なのですが、どういうことを指しているのかを説明したいと思います。

 症状としては

・あごの痛み

・あごの腫れ

・膿が出る

・口の中に顎の骨が露出する

・顎のしびれ

・歯肉の腫れや膿

・歯の動揺

などが挙げられます。特に4つめの「口の中に顎の骨が露出する」という項目が特徴的な疾患です。

《MRONJの診断》

 以下の3項目を満たした場合にMRONJと診断する。

①BP(ビスホスホネート)製剤やデノスマブ製剤による治療歴がある。

 または血管新生阻害薬、免疫調整役との併用歴がある。

②8週間以上持続して、口腔・顎・顔面領域に骨露出を認める。

 または口腔内あるいは口腔外から骨を触知できる瘻孔を8週間以上認める。

③原則として、顎骨への放射線照射歴がない。

 また顎骨病変が原発性がんや顎骨へのがん転移でない。

 ここで問題になってくる薬剤が、骨粗しょう症のお薬であるビスホスホネート(BP)製剤やデノスマブ(Dmab)、抗がん剤の一部、免疫抑制剤の一部、グルココルチコイドなどです。ただし、お薬を使っているからといって絶対に起こる病気ということではありません。様々な因子が絡み合って引き起こされるものです。なお、顎骨壊死は一度発症すると治癒が難しいため、予防が非常に重要になってきます。

 顎骨壊死の確定診断と治療は口腔外科専門の歯科施設で行う必要があります。治療には、外科的に腐骨を切除する手術が必要となる場合があります。

 次回、リスク因子やMRONJが起こるしくみをお話ししたいと思います。