どうして矯正治療は時間がかかる?

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 全体的な矯正治療をしようとすると、平均的なワイヤーなどによる治療期間はおおよそ2年程度と言われます。どうしてそんなに時間がかかるのでしょうか?

 

歯には“歯根”と呼ばれる根っこがあり、歯槽骨と呼ばれる骨の中にその歯根は埋まっています。矯正装置を装着することにより歯に力が加わると、歯根圧迫された側に破骨細胞と呼ばれる細胞が出現します。破骨細胞は骨を溶かす役割があります。骨が吸収されて(溶けて)できた空間に向けて歯が動きます。

 

歯根の圧迫された側と逆の方向には、骨芽細胞と呼ばれる細胞が出現します。骨芽細胞は、骨組織において骨形成をおこなう細胞です。歯が破骨細胞によって作られたスペースに移動すると、今まで歯があった場所にスペースが出来ますが、そこを骨芽細胞によって骨形成し、埋めていくのです。

 これらの一連の骨の改造に最低2~3週間がかかり、その間は治療期間をあける必要があります。無理に短期間で歯を動かそうとすると、“歯根吸収”といって、歯根が溶けて短くなってしまうこともあるのです。

 

このように、歯と歯周組織の健康を維持するためには、治療と治療との間に一定の期間をあける必要があるため、矯正治療にはある程度の期間がかかることになります。1か月に歯が移動できる距離が0.5mmくらいですので、それを歯牙全体で考えると治療期間が延びるのもうなずけますね。