2021/08/17
前回までのお話で、特殊な症例を除いて自分で歯並びを治すことは不可能であることをお伝えしました。今回は、アメリカなどでよく見られるようになった、「ネットで購入可能なマウスピースキットを使って自力でする矯正治療」についてお話しします。
矯正治療の方法には、ワイヤーによるものとマウスピースによるものなどがあることはご存知かと思います。そのマウスピース型矯正の中にも、スポーツ用マウスピースと同様に自分で歯型をとって会社に送り、専用のマウスピースを作ってもらうというタイプのものがアメリカにあります。
アメリカ矯正歯科学会（ＡＡＯ）でも日本矯正歯科学会でも話題に上がったことがありますが、まずほぼキレイに治らないと言われています。そもそもの歯型をとる段階で上手くできないため、その人にピッタリあったマウスピースが出来ませんし、それ以前の問題になるのですが、診断をしていない以上はどこに不正咬合の原因があるのか分からないため、なんの計画性もない治療になってしまうからです。
内科を想像していただければわかりやすいと思うのですが、咳をしている患者さんが来院されたとして、原因が風邪なのか、肺炎なのか、結核なのか、コロナなのかで対処法が変わりますよね。それくらいに診断は大切だということです。
診断を受けずに歯だけキレイに並べる計画を立てたとして、それは貴方のお顔に似合ったものでしょうか？口元のバランスはとれますか？すべてが駄目だとは思いませんが、専門家がいるのにはきちんと理由があるのです。費用も時間もかかる矯正治療だからこそ、信頼できる先生にお願いしましょう。