2021/11/14
11月に入り、年末年始の休診日の予定を考えていると、今年も終わりが近づいているんだなとひしひしと感じます。今日は、休日当番をした先生から伺ったお話をします。
それはお正月のことでした。急患センターにいらしたご年配の患者さんが、ほっぺが腫れたというのです。見てみれば、片方の頬が腫れあがっていました。年末から飲み続けでしたが、痛みがあるし腫れが治まらないので急患センターにおいでになったそうです。お口の中を見ると、下の親知らずから膿が出ていて、口も大きく開きませんし苦しそうです。聞けば息苦しいとのこと、これは大変だとすぐに病院へ行ってもらうこととなりました。
結果として、この方は親知らずの炎症が喉の方へ広がり、呼吸困難まで出ていた重症患者さんでした。すぐに抗生剤の点滴を打ったり、膿を出すことでなんとかなりましたが、危うく死んでしまうところでした。
親知らずは生えてこなかったり、痛みや腫れが無ければ様子を見ても良いですが、一度でも腫れたことがあるならば、体力が落ちた時や疲れているときに再度痛くなったり腫れる可能性が高いです。また、この患者さんは以前から痛みがあったものの様子を見すぎて悪化させてしまっていますので、痛みや腫れに気づいたら早めに歯医者さんへ行きましょう。点滴や入院などせずに済むことが殆どですよ。
このような病態は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれ、大変恐ろしい病気として歯科医師には認識されています。親知らずに限らず、奥歯が虫歯になったりして炎症を起こすとかかることがある病気ですから、日頃から歯医者さんへ通い、奥歯までハミガキができるようになっておきましょう。