矯正治療に時間がかかるのはどうして?

  • HOME
  • News
  • 矯正治療に時間がかかるのはどうして?

全体的な矯正治療をしようとすると、ワイヤーなどによる治療期間はおおよそ2年程度と言われます。どうしてそんなに時間がかかるのでしょうか?

歯は歯槽骨と呼ばれる骨の中に根っこの部分が埋まっています。矯正装置をつけることで歯に力が加わると、歯の根っこの圧迫された側に破骨(はこつ)細胞と呼ばれる、骨を溶かす細胞が出現します。骨が吸収されて(溶けて)できた空間に向けて歯が動きます。

歯根の圧迫された側と逆の方向には、骨芽(こつが)細胞と呼ばれる細胞が出現します。骨芽細胞は、骨組織において骨を作ってくれる細胞です。歯が破骨細胞によって生まれたスペースに移動すると、今まで歯があった場所にスペースが出来ますが、そこを骨芽細胞によって骨形成し、埋めていくのです。

これらの一連の骨の改造に最低2~3週間がかかり、その間は治療期間をあける必要があります。無理に短期間で歯を動かそうとすると、“歯根吸収”といって、歯根が溶けて短くなってしまうこともあるのです。

このように、歯と歯周組織の健康を維持するためには、治療と治療との間に一定の期間をあける必要があるため、矯正治療にはある程度の期間がかかることになります。1か月に歯が移動できる距離が0.5mmくらいですので、それを歯牙全体で考えると治療期間が延びるのもうなずけますね。


佐野歯科・矯正歯科医院
副院長 関川 奈都貴

~プロフィール~

2005年 日本歯科大学 新潟歯学部卒業

2005年4月~2015年3月 日本歯科大学新潟生命歯学部歯科矯正学講座 勤務

2015年4月 佐野歯科医院 勤務