診療室などの消毒について

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 皆さんこんにちは。最近ではインフルエンザが流行ってきていますね。風邪をはじめとした感冒は、菌やウイルスによって引き起こされます。人が多くいるほど雑菌も多くなりますし、抵抗力の低い人ほど病気になりやすいです。歯科医院という場について考えると、人の口の中に手や器具を入れるため、菌やウイルスの感染経路を絶たなければいけません。それでは、感染予防のためにどのようなことをしているのでしょうか?

 基本的に、お口の中に入る器具器材は「滅菌」といって、一番厳しい基準をクリアした状態で提供されます。「滅菌」とは読んで字のごとく、菌を滅するという意味です。

【滅菌の定義】

 微生物の生存する確率が 100万分の1以下になること(日本薬局方)
 •世界的に広く採用されている無菌性保証水準
 (sterility assurance level:SAL) =10-6

滅菌には高温によるもの、薬剤によるもの、プラズマやガスによるものなどがあります。

 滅菌できないものは、「消毒」という扱いになります。例えば高温や高圧などかけられない人体や、そういった温度変化や特定の薬剤に弱い器材、患者さんが触る部分や空間などです。

【消毒の定義】

 病原微生物を死滅または除去させ、害のない程度まで減らしたり、

 あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化させること(薬機法)

 似た言葉に「殺菌」「除菌」「抗菌」などがありますが、それぞれに定義があり、滅菌とはレベルが違います。

  • 殺菌 細菌を死滅させる、という意味ですが、殺す対象や程度を含んではいません(薬機法)
  • 除菌 対象物や、限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めることです
  • 抗菌 菌を殺したり減少させるのではなく、繁殖を阻止するのですが、対象やその程度を含まない概念です。JIS(日本工業規格)では、抗菌加工されていない製品の表面と比較し、細菌の数が100分の1以下である場合、その製品に抗菌効果があると規定しています

 テレビドラマで、手術のシーンなどが出てきますが、あの場で患者さんに使う器具はすべて滅菌、オペ着も滅菌、先生の眼鏡は消毒、手は消毒、グローブは滅菌、麻酔科医が使うモニターは消毒・・・といった具合に可能な限り菌を排除します。

 ここで知ってほしいのが歯科医院の滅菌・消毒の程度です。歯科医院は患者さんの口の中で歯を削ったり抜いたり、歯茎を縫ったりとお口の外科医と思っていただきたいのですが、そういった理由から歯を削る機械も小さなドリルも、口の中に入るものはすべて滅菌されています。消毒では足りないため、高圧、高温で滅菌できる特殊な機械が必ず歯科医院に1台以上あります。滅菌の手順も煩雑で、かなり徹底して菌をなくします。

 例)洗浄⇒薬液浸漬⇒本洗浄⇒オートクレーブ⇒個包装

このような感じで、汚れだけでなく目に見えない汚染を取り除きます。

 コロナの感染が怖い・・・と受診を控えられる時期がありましたが、大きな病院と比べても、小さな診療所としてはかなりのハイスペックな感染防止対策が取られているんです。不安なく診療を受けられるように、毎日何度も器具の滅菌をおこなっているので、ご安心くださいね!

(参考資料:日医雑誌122巻10号付録