2021/03/09
昔、受け口の患者さんがいらしたのですが、お母さまに早めの矯正治療をお勧めしたところ、「子供に矯正装置を着けさせるのが可哀想」と言われてしまいました。今日は、子供の時から矯正治療を始めるメリットについてお話しします。
矯正歯科治療はいくつになっても受けることができますが、子供のうちに受けることによって、顎の成長発育を利用できます。
そもそも歯並びや咬み合わせの悪さは、歯だけではなく、顎(骨格)にも問題がある場合があります。成長が止まってしまった大人の場合、不正咬合は歯の移動で治すか、手術を伴う矯正歯科治療で治すしかありません。そのため、矯正のみでの治療に限界があると言わざるを得ないのです。特に受け口が気になる方で、口元の印象を大きく変えたい場合は手術をした方がより良い治療結果を得られることも多々あります。
一方、成長途中にある子供の場合は、上下の顎の成長を抑制したり、逆に成長を促すなどして治すことができます。要するに、歯並びと骨格の両面から治していくことが可能なわけです。そのため、健康な歯の抜歯をせずに不正咬合を治せる可能性も出てきます。また、使用する矯正装置も比較的シンプルなものであること、子供はむし歯や歯周病などによる治療跡(修復物や補てつ物)が大人に比べて少ないため、矯正装置の装着が容易にできるのもメリットです。さらに、学校や近所にも矯正歯科治療中の子どもも多くなってきているため、疎外感もなく、治療になじむのも早いと思います。
ただし、小さい子供の場合は本人のやる気というより親の意向で治療を始めることも多く、矯正歯科治療に前向きではないケースも考えられます。ご家族のサポートでお子さんのやる気を持続させてあげましょう。